研究概要 |
筋細径求心神経刺激により呼吸促進に続きnalsxone(opioid拮抗剤)拮抗性の反射性呼吸抑制相が出現する. 筋細径求心性入力による呼吸抑制がmid-collicularレベルより僅かに尾側の切断により消失することから, この反射性呼吸抑制に結合傍核(PBN)が関与する可能性が示唆された. PBNの反復電気刺激, 及びmorphineの微量局所投与により, 持続性呼吸抑制が認められ, これはnalsxone拮抗性でまた筋細径求心性入力による呼吸抑制のパターンと極めて類似した. 反射性呼吸抑制のtachyphylaxgs現象がproglumide(CCK拮抗剤)により拮抗されたので, 内因性CCKの関与が示唆された. proglumide投与自体では呼吸レベルに影響がなかったことからCCK系は繰り返し刺激による時間的加重により促進に働き, opioid系による抑制に拮抗すると想定される. また筋細径求心神経刺激およびPBNの反復電気刺激は呼吸中枢の呼吸サイクルによる活動状態により, 誘起される反射性呼吸抑制の大きさ差が生じた. 迷走神経切断前後を比べると切断前においては呼息相に同期した刺激により吸気活動が誘発される傾向が強く観察された. 刺激中のrespiratory driveの大きさと刺激終了後の呼吸抑制の度合との間に正の相関が認められた. PBN近傍を通る第四脳室一大槽灌流を行なった. この灌流液中にenkephalinase阻害剤を添加すると, 反射正呼吸抑制に有意に増大した. また灌流流出液中Met-enkephalinをELISA法により測定したところ, 筋細径神経刺激中及び刺激後では刺激前に比べ増加する傾向が認められた. 筋細径求心系神経の大部分はPolymodal受容線維である. 同様な性質が認められている内蔵求心系である睾丸のin vitro標本において, polymodal受容器の受容特性を詳細に検討し, in vivoにおいて睾丸polymodal受容器入力により呼吸反応が生ずることを認めた. 以上の結果から, PBNがpolymodal受容器入力による内因性opiate系(enkephalin系)を介する反射性呼吸抑制に関与する重要な中枢機構であることが示された.
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