配分額 *注記 |
29,700千円 (直接経費: 29,700千円)
1987年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1986年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
1985年度: 22,000千円 (直接経費: 22,000千円)
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研究概要 |
本研究はin vivoからin vitroまでの様々な方法を駆使して, 脳内ヒスタミンの神経刺激伝達物質あるいは神経刺激調節物質としての生理的な役割を解明することを目的として行い, 以下のような成績を得た. 1.形態学的研究:免疫組織化学的方法に改良を加え, ラット脳内ヒスタミン神経系の詳細なマッピングを行ない, 神経線維が脳内のきわめて広範な部位に分布していることを見出した. 2.行動薬理学的研究:α-フルオロメチルヒスチジン投与による脳内の神経性ヒスタミンの涸渇が, 睡眠覚醒リズムや, 自発運動リズムに大きな影響を与えること観察した. また, ヒスタミン神経系は摂食リズムや体温調節にも大きな役割を果たしていることも見出した. 3.神経内分泌学的研究:α-フルオロメチルヒスチジン投与は, 両側副腎摘出後のACTH分泌, 高張食塩水投与によるバソプレッシン分泌を障害し, また血中コルチコステロンレベルの日内リズムを平坦化することを認めた. また, 視床下部からの内因性ヒスタミンの遊離にはN型のカルシウムチャンネルが関与していることが分かった. 4.ヒスタミンHI受容体の可溶化と精製:ラット肝臓からヒスタミンHI受容体をほぼ純粋に単離精製することに成功し分子量54K, 58K, 61Kの3つのサブユニットからなることを示した. またモルモット脳のこの受容体の可溶化にも成功した. 以上の結果から, ヒスタミンは中枢神経系において個別的あるいは特異的な機能を持っているのではなく, 基礎的な脳機能を全体として調節する神経調節物質として作用していると結論した.
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