研究分担者 |
小柳 清光 新潟大学, 脳研究所, 助手 (00134958)
武田 茂樹 新潟大学, 脳研究所, 助手 (90134957)
吉田 泰二 新潟大学, 脳研究所, 助手 (70126465)
大浜 栄作 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (50018892)
山崎 一徳 新潟大学, 脳研究所, 助手 (60115087)
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配分額 *注記 |
19,200千円 (直接経費: 19,200千円)
1987年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1986年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
1985年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
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研究概要 |
脳神経組織が変性に陥った後, 病巣は如何にして最小の機能喪失をもって修復されるか, その修復機序を明らかにすることを目標とし, 昭和60年当初から, 以下の計画が進められてきた. 即ち, 1.虚血性, 中毒性, 外傷性等, 各種脳病巣の修復機序の比較. 2.胎仔脳とその病巣の検討. 3.細胞外浮腫液等の酵素抗体法. 4.病巣内新生血管の検討. 5.病巣電顕. 6.胎仔脳の動的観察. 7.浮腫液と反応細胞の関連. 8.アストロサイトの細胞分裂. 9.浮腫液の性状. 10.頭蓋内圧. 11.髄液の産生循環吸収. 上記各項目につき3年間で多数の知見が得られたが, 特記すべき第1は, A.各種脳病巣修復機序の比較で, それが虚血性, 外傷, 中毒等に関わらず, 単位面積当たりの神経細胞壊死が強烈, 急速な程早期に浮腫液が出現する事. B.ウイルス性脳疾患で神経細胞が一時性原発性に壊死に陥る場合でも, 神経壊死に引き続きアストロサイトの腫脹が生じ, それに付随して, 血脳関門が開放され, 浮腫液が貯溜することを認めた. これはあらゆる脳疾患の根底に共通する病巣修復機序のあることを示す極めて重要な結論と考えたい. 第2は, 第11項の髄液産生の脈絡叢の発生を検討し, その起始部で最も強い細胞分裂が生ずる点等を明らかにした. 第3は第8項のアストロサイトの細胞分裂についてで, これはヒトの脳膿痕を検索し, アストロサイトの分裂が病巣の外周より中央部の浮腫残存部に向けて病巣を修復しつつ進むことを明らかにした点と思う. 第4は第2項の新生仔脳血管の新生について, 神経管形成の初期には脳血管は脳表にのみ限局し神経細胞形成と同時に実質中に出現する事, そして早期には有窓血管が認められ, 中枢神経血管としての特性は後に発現すること等を明らかにした. また脳病変修復時に出現する反応性血管の形態は胎生期の脳血管新生の機序を模倣していること等を指摘した点に, 3年間の重要な結論があると考えている.
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