研究分担者 |
朴 修三 東京大学, 医学部, 形成外科医員
中塚 貴志 東京大学, 医学部, 形成外科教務職員 (80198134)
高戸 毅 東京大学, 医学部, 形成外科医員 (90171454)
上田 和毅 東京大学, 医学部, 形成外科医員 (40160163)
PARK Susam same as above
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研究概要 |
1.家兎を用いた交叉顔面神経移植では, 再生有髄軸索の密度・直径において, 遊離神経移植と血管柄付神経移植の間で有意の差は認められなかった. しかし, 臨床における瘢痕や放射線照射部位のように血行の悪い部位で両者の比較を行えば, 有意の差が出ると考えられるので今後更に実験を進める予定である. 2.これまで異種神経移植には否定的な見解が主流を占めていたが, 我々は免疫抑制剤サイクロスポリンAを用い, ラット, モルモット間で新鮮異種神経移植に成功した. 今回の実験では, 免疫抑制剤の投与期間が約2週間と短いにもかかわらず, 移植後16週目においてもなお再生軸索の機能は保たれていた. しかし移植神経片にはリンパ球浸潤などの炎症所見が認められており, この再生軸索が永久に生存できるものかどうか, 更に長期にわたって調査する予定である. また, より種の離れた動物間においても同様の方法で異種神経移植が可能であるか, 既変性や凍結融解などの処置を加えて神経の抗原性を減少させればより少ない免疫抑制剤の投与で異種移植が可能であるか, などの点につき実験を進める予定である. 3.顔面 麻酔に対して行ってきた長さ約20cmのヒト自家遊離神経移植の移植神経遠位端においては, 移植後約1年で, 再生有髄軸索は小径で, その密度は正常顔面神経の約1/10, 再生無髄軸索およびSchvann細胞は正常顔面神経の約1/2の数が見られた. 患者の年令や移植神経内の瘢痕形成が軸索再生に影響を与えることが分った. 4.顔面交叉神経移植後に移植された血管柄付筋肉では, 脱神経電位は2週目より9カ月まで認められ, 誘発電位は移植后4カ月より出現し, 1年後には約90%に認められた. しかし, 単一筋線維筋電図などで調べると, 移植筋の機能回復の速度にはかなりの個体差があることが示唆された. 顔面交叉神経と伝導速度は, 排腹神経本来の伝導速度より低い値を示した.
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