配分額 *注記 |
11,000千円 (直接経費: 11,000千円)
1987年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1986年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1985年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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研究概要 |
特発正門脈圧亢進症(IPH)の成因に関する脾の免疫学的関与について, 60-62年度の研究成果についてその概要を述べる. (1)IPH患者の末梢血および肝脾組織のリンパ球サブセットを検討したが, 末梢血中のLeu2a陽性細胞百分率は低値で, 3a/2a比は高値を示す傾向にあり, 脾内ではLeu2a陽性細胞百分率は高値で, 3a/2a比は低値を示した. 免疫組織化学的検索では脾の濾胞は大きく, 胚中心にはB1陽性細胞の他にLeu3a, Leu7陽性細胞もみられ, 周辺層ではLeu4陽性細胞が, 赤脾髓ではLeu2a陽性細胞が有意に増加した. また, IPH肝に浸潤するリンパ球の大部分はLeu4陽性細胞で, 門脈域ではLeu3a陽性細胞が主としてみられた. 即ち, 末梢血, 脾内リンパ球サブセットの異常が存在した. (2)IPH例では他の自己免疫疾患との合併例がみられた. AIHA3例, PSS1例, SLE1例, バセドウ病1例の合併例を経験したが, これは全症例の約6%に相当し, overlap症候群との理解も可能と思われ, 本邦例29例を集計中である. (3)同種脾および自己脾による遷延感作ウサギを作成した. 前者では門脈圧亢進が47.9%にみられ, 種々の程度の脾腫がみられた. 後者でも43.0%に圧亢進がみられ, 感作日数が長期になるに従って脾腫大がみられた. 末梢血液像では同種脾感作群で汎血球減少がみられ, 62%に抗甲状腺マイクロゾーム抗体が検出された. 一方, 自己脾感作群では白血球, 血小板数の減少傾向が, また, 抗DNA抗体の出現が一部にみられた. これらのことはIPHの臨床像に極めて類似し, IPHの成因に免疫機序ことにアレルギー性臓器炎の関与が推測された. (4)IPHで脾摘を行うと肝の線維化が抑制される例を経験することから, 肝再生を抑制する脾内因子について検討した. ラット初代培養肝細胞のDNA合成における^3H-thimidineの取り込みは脾抽出液添加群において, 著明に抑制された. そして, その肝再生抑制因子は分子量5〜60000の蛋白と判明した. このことは, IPHの脾摘の意義を示唆するものと思われた.
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