研究概要 |
昭和61年度に犬に埋め込んだアパタイトを切り出し2年間の結果を組織学的及び組織形態計測学的に検討した. 以下にそれ以前6カ月,1年の観察期間で得た結果も合せて述べる. 本実験で明らかになった事柄は1.アパタイト骨埋め込み部位に起る骨形成様式と2.埋め込みアパイトトの生体内での吸収性の2つである. まず埋め込まれた多孔性アパタイトブロック内部には骨 面骨膜から線維性組織が入り込む. 骨膜側と除くアパタイト直方体の5表面でアパタイトに付着して骨が形成される. これは骨髄組織内の骨芽細胞がアパタイト表面に直接付着することによって開始される. 一担このようにアパタイト表面に骨が形成されると骨表面からアパタイトの内部腔を伝って流れ込んできた前述した線維性組織がアパタイト表面又はアパタイト表面に形成された骨の表面に次々に骨に転化されていく. ここで極めて特徴的なことは,線維性組織が骨に転化する際線維が常に骨に垂直になるように骨に入り込み骨内ではそれら線維がSharpey線維様形態をとることである. これは歯根膜から歯槽骨が形成されるbundle boneに酷似している. 一担形成された骨は吸収骨によって徐々に層板骨に転化されていく. 組織計測では新生骨の面積率は6カ月で年均18,1±1,4%,1年で35,2±8,9%2年で32,1±7,6%であった. 一方アパタイトの骨内埋め込み後徐々に吸収されていき面積率で埋め込み前平均32,6%であった多孔体が6カ月で25,5%,1年で18,8%,2年で16,9%へと減少した. このアパタイトの吸収は基本粒子0,1〜2μ程度の粒子が多数集合した吸収顆粒の形をとってアパタイトから徐々に解離していくのがそのメカニズムであると思われた. これにはマクロファージ及び多核巨細胞の働きが関与していると思われた.
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