研究課題/領域番号 |
60440072
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
稲田 豊 東大, 医学部, 教授 (40053764)
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研究分担者 |
安本 和正 昭和大学, 医学部, 助教授 (90054030)
長瀬 真幸 東京大学, 医学部, 助手 (70172533)
河手 良一 東京大学, 医学部, 助手 (60177706)
平石 禎子 東京大学, 医学部, 助手 (60165157)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
15,900千円 (直接経費: 15,900千円)
1986年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1985年度: 15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
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キーワード | 呼吸筋 / 疲労 / ガス交換能 / 肺機能 / 術後肺合併症 / H / L比 / 節電図 / 呼吸筋の疲労 / 術後低酸素血症 / 上腹部手術 |
研究概要 |
上腹部手術後はガス交換の場である肺に直接手術侵襲が及ばないにもかかわらず、術後数日間に渡ってPa【O_2】が低下し、その上術後肺合併症の発生率の高いことが知られている。近年では、呼吸不全は呼吸筋不全に由来するといわれており、肺機能検査に呼吸筋の疲労という新しい概念が導入されて来た。報告者は上腹部手術症例を対象として、手術前後における呼吸筋の疲労の推意、更に、麻酔および手術侵襲に由来する呼吸筋の疲労がガス交換能に及ぼす影響などについての検討を行った。 上腹部手術患者を対象として、術前に各種の肺機能検査を行うとともに、吸気負荷を与えた際の横隔膜,胸鎖乳突筋,肋間筋などの筋電図の活動電位を採取し、次いでbandpass filterを用いてH/L比を算出した。更に、吸気負荷により呼吸筋を疲労させた後に、single及びmultiple【N_2】testなどの測定を再度行い、呼吸筋の疲労がガス交換能に及ぼす影響を測定した。同様の測定を術後にも行った。 (1)手術前より老人では成人に比して、吸気負荷に耐えられなくなる時間は有意に短く、更に、H/L比の減少度が強かったので、術前より呼吸筋は疲労しやすい状況にある事が示唆された。 (2)上腹部手術後には呼吸筋の疲労度が増強することが、筋電図の解析により推測された。しかし、疲労の程度、及び回復状況は呼吸筋によって異なることが推測された。 (3)手術の前後において、吸気負荷後は肺内の不均等換気が増強したので、呼吸筋の疲労はガス交換能を悪化することが示唆された。 (4)以上の結果より、術前術後において呼吸筋の疲労現象を測定することは、麻酔及び手術侵襲が呼吸器系に及ぼす影響を知る上において、有用な検査法と思われた。
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