研究概要 |
網膜S抗原による実験的ぶどう膜網膜炎において, 経時的に, いかなるリンパ球サブセットが, どのような分布で出現するかを, 光学顕微鏡用オートステージと専用のカラー画像解析プログラムを開発して解明しようとした. 1.ウシ網膜S抗原の精製:網膜は低張処理を行って可溶生成分を溶出させ, 硫酸アンモニウムにより塩析し, 沈渣を溶解した, 遠心分離の後上清をsephadex G-200にかけ, SDS-ゲル電気泳動により分子量50,000前後のS抗原分画を同定し, ミリボアフィルターにて濃縮し, さらに, 段階的濃度(0.03, 0.06, 0.1M)の燐酸緩衡液を用いた吸着力ラムクロマトグラフィーによってS抗原を純化した. 2.網膜S抗原によるラット実験的ぶどう膜網膜炎の作成:近交系, Lewisラットの後足蹠に, 完全アジュバントと共に網膜S抗原50microgramを接種した. 接種後12-18日目にぶどう膜炎が発症した. 発症直後, 1-3日後, 1-4週間後に眼球を摘出し凍結切片とした. 3.モノクローナル抗体によって分別されるリンパ球サブセットのイムノペルオキシダーゼ法による染色, 凍結切片を正常ヤギ血清でブロッキング処理したのち, 4種の抗ラットリンパ球マウスモノクローナル抗体, ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgGヤギ抗体, および基質と反応させた. 4.カラー画像解析, 開発したプログラムは目標とする赤茶色の標識を抽出し, 2値化し測定するために, カラーベクトルのIHP(I明度, H色相, P純度)検出を行い, 色相を主な抽出の指標とした. さらに顕微鏡のオートステージを制御し, 全視野の標識を漏れなくかつ重複なく処理することとした. 目標とするリンパ球細胞膜上の抗原量(s)は対象組織の面積(S)に対する面積比(s/S)として表現された.
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