配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 18,200千円)
1987年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1986年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
1985年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
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研究概要 |
近年, 保存修復後に多発している2次ウ蝕について, 昭和58年度科学研究費を得てその実態を明らかにするための研究を行い, 今回は, 昭和60年から3年間にわたって, その予防のための細菌学的研究を続け, 次のような結論を得た. 1.従来の研究は, ウ蝕病巣中の極く一部の細菌についてのみ行われてきたが, 星野による効果的な嫌気性菌培養法の開発により, ウ蝕象牙質病巣中には圧倒的多数の偏性嫌気性菌が存在することが判明した. 2.嫌気性菌に強い生育阻害作用を持つmetronidazale(MN)を, 優れた生体親和性を有する新素材α-TCPに加えた新セメントを試作し, 抜去歯および口腔内から採得したウ蝕象牙質中の細菌に用いたところ強い細菌作用を示した. 3.完全削除すれば明らかに歯髄除去処理を要すると思われる学童の急性ウ蝕に, 軟化感染象牙質を多量に残して本セメントを裏層材として応用し, その臨床観察および細菌学的検索を行ったところ, 1日後には窩底部象牙質中の細菌は完全に殺菌され, 1カ月, 1年, 2年後いづれも臨床不快症状を示さず, 電気診でも歯髄は正常に維持され, 臨床的に良好な結果が得られ, また, 窩底ち残された軟化感染象牙質の硬化がみられた. 4.本材の効果を一層高めるためにMNにミノサイクリン・シプロフロキサシン・リファンピシンを加えた4MiXについて同様な実験を行い, 極めて効果的なことが判明した. 5.本4MiXを感染歯髄および感染根管から採取した細菌に応用したin vitroの実験では, いづれに対しても100%の細菌作用をみとめた. 6.現在, 感染歯髄の抜髄をさけるための直接覆髄剤として, また感染根管治療用の塗薬剤として臨床応用を試みているが, いづれ症例でも, 本剤が極めて有効なことが示されている. 7.なお, 本薬剤を歯周病治療用の局所塗布剤として, また, 各種保存治療用材料に加えた実験も現在継続中であり, その効果が期待される.
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