研究分担者 |
小野 哲也 京都大学, 放射線生物研究センター, 助教授 (00107509)
岡田 重文 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (70010048)
内海 博司 京都大学, 放射線生物研究センター, 助教授 (20025646)
佐々木 正夫 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (20013857)
石崎 寛治 京都大学, 放射線生物研究センター, 助手 (70111987)
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研究概要 |
1.すでに全塩基配列が分かっている大腸菌のCAMPリセプター遺伝子を持つプラスミドにエックス線を照射して突然変異を起こさせ, どのような塩基配列の変化が突然変異の原因となっているかを調べた. エックス線照射したプラスミドで大腸菌を形質転換させ, 乳糖を分解する能力を失った突然変異を選択した. 84個の突然変異について, 遺伝子の全長の約3分の1に相当する5側から230塩基対について, それぞれの塩基配列をサンガー法で決定した. 検出された変化は16個で, 塩基置換型が8個とフレームシフト型が8個であった. 変化が検出されなかった残りの約70個の突然変異に関しては, 遺伝子の残りの3分の2の所に変化が生じていると考えられるので, 現在解析中である. まだ例数は少ないが, 塩基置換型突然変異はすべてGC塩基対が標的になっていることは大変興味深い. 2.マウスの胎児から樹立した近2倍体細胞株をエックス線で照射し, 細胞の癌化(トランスフォーメーション)と染色体異常の関係を調べた. 生じたトランスフォーマントを24個分離し, 染色体を観察すると, 全体の70%に相当する17個に共通して第13番染色体のC2から末端領域を含む欠失が認められた. 次にヌードマウスに移植した場合の悪性度は, 3個のクローンが強い造腫瘍性を示した. これらのクローンは染色体の部分的重複を持っていた. 以上の結果から, 第13番染色体の一部分の欠失がトランスフォーマントの形成に重要であり, 更に悪性化するためには染色体重複などの二次的な変化が必要であることが分った. 3.個体の加齢に伴ってDNAにどのような変化が生じているかを検討した. 癌遺伝子の一つであるc-mycのメチル化の程度は, 肝臓ではマウスの加齢と共に増加していることが分った.
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