研究分担者 |
河手 典彦 東京医科大学, 医学部, 助手 (70204740)
米山 一男 東京医科大学, 医学部, 助手
小中 千守 東京医科大学, 医学部, 助手 (70147180)
會沢 勝夫 東京医科大学, 医学部, 助教授 (40074645)
加藤 治文 東京医科大学, 医学部, 講師 (20074768)
YONEYAMA Kazuo Dept. of Surgery, Tokyo Medical Colledge Assistant
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研究概要 |
光線力学的治療は腫瘍親和性の有る光感受性物質を取り込ませた後, 低出力レーザー照射を行なうもので, 我々の教室では10年来基礎的, 臨床的研究を行なってきている. 昨年度合成し得た新しい光感受性物質であるmono-L-aspartyl chlorin ed(Nped)は, 従来のヘマトポマフィリン誘導体(HpD)と比べマウス皮下移植腫瘍で腫瘍集積性が高く, またより高い吸収極大値を有することがわかった. 励起波長もより長波長例に有り, 血色素により減衰することも少なく, 現在臨床応用に向けてさらに研究中である. レーザー器械の開発も従来のアルゴン色素レーザーよりも尖端出力の高いパルスレーザーであるエキシマシーザーを開発, 導入しすでに臨床応用を行なっている. このエキシマレーザーは波長可変装置により診断, 治療が同一器械で可能であり, 特に診断では得られた内視鏡像も蛍光, 蛍光波長を同一画面上で表示できる画期的なものである. 光線力学的治療の基礎的な機序研究も進み, 特にヘマトポルフィリン誘導体Npedは, 細胞内ミトコンドリアに取り込まれることが明らかになった. さらにビデオ顕微鏡を用いて観察すると, 光感受性物質を取り込ませた後光照射を行なうとミトコンドリア固有運動が障害され, 停止してしまうことがわかった. つまり光線力学的治療の機序はミトコンドリア障害がその引き金であることが考えられる. 昭和62年度では61年度で行なった光線力学的治療に関する基礎的研究, レーザー器械開発, 新しい光感受性物質研究等が確立されつつあり, 臨床成績も向上しつつ有ることよりさらに本研究を進めてゆく.
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