研究概要 |
二年間にわたる研究の内、初年度は基本的な資料収集と調査活動、次年度は前記資料の検討の上で、老後福祉計画の策定を実験的に試みた。 主な研究実績を、要約的にまとめると、以下のようになる。 1.資料収集をした諸自治体においては、「老後福祉計画」といったスタイルの計画は独自には未だ見られない。福祉計画の中に「老人福祉」計画として、狭義の福祉行政サービスの施策体系が記述される場合が多い。しかし、新しい動向として、「地域福祉計画」というスタイルの下に、行政ヨコ割的に、さらに民間組織の機態も含めて、「老後福祉」を実際的には中心におく、という試みが出ている。 2.鹿島町の財政は、大規模工業開発により、新たな行政需要も新生しているが、それ以上の歳入増大により、都市基磐整備,教育,コミュニティ施設,福祉,等への投資は高水準にある。 老後福祉については、第一に町内の高令者人口比率が低いこと、第二に地元大企業が定年後対策を独自に実施していないこともあって、計画化へのアプローチはみられない。しかし、ここ一,二年の鉄鋼不況により、町財政は大きな歳入減となり、解雇問題の現実化によって、計画化への関心は企業,行政,住民の側から高まっている。 3.「老後福祉計画」の試行的策定は、当初の計画とはやや異なり、地域福祉的関点を重要視した。福祉計画という計画枠組になった。この具体的な構成と内容の展開については、本報告書にゆずるとして、ここでは省略したい。
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