研究概要 |
1.鹿児島, 名瀬両市の老人の特徴としてまずあげられることは, 子供との同居率がきわめて低いことである. 今回調査による同居率は34.4%, 年齢構成の偏りを修正した標準化同居率でみても35.5%で, 昭和60年国勢調査による全国平均同居率の65.6%にくらべて著しく低い. 2.低同居率は, 一時別居型居住形態が多いことによる. またそれは, 一時別居期間が長いことによる. 女についてみると, 低年齢層では低同居率が顕著であるが, 80才以上になると大半が同居している. しかし, 同居時期は一般に遅い. 3.全国平均にくらべ, 一貫した同居志向が少なく, 一時別居志向が多い. 4.同居率は階層間にかなりの格差があり, 意識面をふくめて, 専門的職業, 販売店主1生産工程従業者はとくに低率であり, 事務従事者はそれらの対極にある. 5.多数の別居老人は主に親族に依存している. 別居子は比較的近住度が高く, 交流も密である. 一番近くに住む子供や病気の時に世話して呉れる子供は, 特定の身分関係に偏ってはいない. つまり, 将来親をみる子供に限定されていないのである. 6.子供がありながら生涯別居をとおす老人は, 女の場合約12〜13%と推定される. 80才以上で単独世帯の老人は, 子供と1時間以上の距離で生活している者が1名あるほかは, 全員が同じ町内に住んでおり, 老人置去りの形態はみられない. 7.年収は, 1人世帯70〜100万円, 2人世帯100〜150万円を最頻値とする分布を示し, 他の地方にくらべて低い・収入源については, 年金をあげた者が77.6%, 預金引出し20.8%等が多く仕送りは13.3%にすぎない(M.A.). 8.生き甲斐は, 「家族・子・孫」が最も多く男では41.1%, 女では34.4%をしめ, 「趣味」は男21.9%, 女17.5%をしめている. 9.友人との交流については, 高齢化につれて親しい友人本位の半隔離型の特徴がみられる. 10.老人と65才未満との間の意識のズレが非常に少ないのも特徴であろう.
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