研究課題/領域番号 |
60450037
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上杉 孝実 (1986) 京大, 教育学部, 助教授 (90031707)
森口 兼二 (1985) 京都大学, 教育学部, 教授
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研究分担者 |
山本 雄二 京都大学, 教育学部, 助手 (20191455)
柴野 昌山 京都大学, 教育学部, 教授 (40025101)
森口 兼二 神戸女子大学, 文学部, 教授 (40025094)
MORIGUCHI Kenji Kobe Women's University, Faculty of Letters
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1986年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1985年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 学校中心自治民育 / 学校中心社会教育(化) / 新生活 / 市民社会 / 社会連帯 / 1920年代 / 日曜学校 / ラジオ体操 |
研究概要 |
1920年代に日本において社会教育行政が確立・整備されていく背景には、資本主義の発展・都市化に伴い、従来の地方改良運動に代わって、西欧の市民社会をモデルにした生活改善、社会連帯精神の涵養の必要が意識されたことがある。その推進者として、民衆にとって身近にある小学校、新中間層としてモデルたり得る教員が期待され、「学校の社会化」、「社会の学校化」のことばの下に、学校の社会教育への関わりの重要性が強張されるようになる。このような学校中心の社会教育が地方で受容されていくにあたって都市・農村のちがいに着目する必要がある。都市にあっては、学校が社会教育活動の場となるとともに、校区単位の地域組織形成の契機を提供するものとして機能し、教員は、地域有力者層中心の組織の中で事務局的機能を果たすのに対し、農村では、教員が、青年団指導をはじめ、生活改善で指導性を発揮する面が多かった。しかし、農村では、説かれる〈新生活〉と生活の実態とのギャップは大きく、知識人の描く生活モデルは有効性を持たなかった日曜学校やラジオ体操などに見られる〈家庭〉〈子ども〉のクローズアップは、都市中間層に着目したものであるが、経済危機、農本主義、国家主義が強まるとともに、国家、国民の部分としての側面が強調されるようになる。1930年代には、学校中心社会教育というよりも、村ぐるみ教育が指向され、農村でも教員は、地域の経済硬生組織の一部に学校ぐるみ位置づけられる。一方、全体主義の傾向が強まるにつれ、学校は、国家の影響力を地域に及ぼす末端機関として、教員が国策に沿った教化の担い手の役割を課せられるのである。戦後も、大正デモクラシーが想起され、民主主義普及、生活改善のために学校中心社会教育が試みられたところが少なくない。戦前、戦後の連続性が相当認められるが、成人教育において学校の果たす機能は戦後強いものとはいえない状況にある。
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