研究分担者 |
片岡 栄美 大阪大学, 人間科学部, 助手 (00177388)
米川 英樹 大阪教育大学, 助教授 (50116133)
池田 寛 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (40093364)
友田 康正 (友田 泰正) 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (90087883)
菊地 城司 (菊池 城司) 大阪大学, 人間科学部, 教授 (00027963)
|
研究概要 |
本研究は, わが国の定時制・通信制高等学校が, 現在いかなる教育機会として存在し, どの様な問題を抱えているかを明らかにした上で, 今後これらの教育を改善・改造する有効な視点を実証的に評価・検討することを目的として進められた. 具体的にわれわれは, 数種類の調査を実施し, 以下の知見を得た. 定時制高校の制度的特徴として, 勤労青年少年教育としての独自性強調, 教育諸条件の問題, 地域社会との結びつき, 制度学校運営の多様性, 教育理念と生徒層の現実のギャップなどがあげられる. これに対し, 通信制はより生涯教育的な性格が強く, 定時制と通信制は教育運営, 生徒層, 教育効果の点でかなり異質である. (1)教育効果の観点から, 多様な生徒層の実態と学校生活の意義, 学校の教育的対応を明らかにした. 中途退学者の規定要因分析, 障害者受入れの実態などを具体的に検討した. (2)後期中等教育人口の急減期における定時制・通信制生徒数及び学校数を西暦2000年まで将来予測を行った. 後期中等教育システムに関する教育政策モデルを想定し, 教育人口を全国及び各都道府県別に推計した結果, いずれのモデルにおいても今後かなり生徒減少を経験することが明らかとなった. (3)学校統廃合の実施は中卒勤労青少年の高校教育機会を大幅に低下させている. (4)専修コースなど先導的な学校経営の実態と明らかにするとともに, 今後の定通教育のあり方や教育改善・改革策に対する教育の意見を調査により把握した. 教員の意見は, 所属県の教育の状況や教育政策・行財政のコンテクスト(例えば学校統廃合の進行度)により異なるが, , 勤労青少年教育としての立場を守りつつ, 生涯教育的な改善策に対しても肯定的である. また単位制高校導入や大検の採用等, 焦点的な問題について教員の意見を明らかにした. 今後は, 生涯教育の観点からの改善・改革だけでなく, リポーティブ・エデュケーションの観点から取らえていくことが必要である.
|