研究分担者 |
近藤 明子 国立特殊教育総合研究所, 精神薄弱教育研究部, 研究員 (40170419)
緒方 登士雄 国立特殊教育総合研究所, 精神薄弱教育研究部, 研究員 (80152370)
篠原 吉徳 国立特殊教育総合研究所, 精神薄弱教育研究部, 室長 (10150054)
小塩 允護 国立特殊教育総合研究所, 精神薄弱教育研究部, 室長 (90090422)
石井 詩都夫 国立特殊教育総合研究所, 精神薄弱教育研究部, 室長 (60168169)
|
研究概要 |
最終年度である本年は、補充データの収集とこれまでの諸データの分析、および報告書の作成を実施した。 研究対象児の行動問題のタイプ別に5事例に紋り、分析を行った。対象とした行動問題は、教師や他児を叩いたり、頭をぶつける「他人への危害行動」,本来の座席や位置からの逸脱を繰り返す「離席行動」,自分の頭やほおを掌で叩く「自傷行動」,そして性器いじりと体揺すり等,自己の身体に対して刺激を加えているとみなせる「自己刺激行動」であった。これらの生起にかかる要因には様々なものが考えられるが、ここでは主に教師と他児からの働きかけ(介入)に視点をあて、対象児の行動を含めて、定義された行動力テゴリーに該当する行動を秒単位で時系列的にチェックし、当該の行動問題出現前後の状況を分析する方法を採用した。 この結果, 1.教師の質問,指示の内容,課題の困難度,教師が関心を向けないこと(以上、他人への危害),課題の内容,場面設定,制止的な教師の働きかけ(離席),課題内容,教師の関心の向け方(自傷),個別的な働きかけの少なさ(自己刺激)がそれぞれの要因として考察された。 2.教師側のこれらの行動問題に対する働きかけは、分析範囲では組織的と認められなかった。一方、他人への危害行動の事例に関し、吟味された方法を施された実験的学級場面では、危害行動の頻度は低減し、指示内容の吟味と援助の方法を対象児のレベルに合わせることによって効果がもたらされることが明らかになった。 どの事例に関しても、言語・コミュニケーションが行動問題の潜在的要因と考察された。今後、コミュニケーション水準に合わせた指導方法の吟味と、行動問題の要因の検討が課題とされた。
|