研究分担者 |
王 徳新 北九州大学, 外国語学部, 教授
渡辺 茂彦 北九州大学, 外国語学部, 助教授
服部 昌之 北九州大学, 外国語学部, 教授
望月 八十吉 北九州大学, 外国語学部, 教授
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研究概要 |
I 強勢を中心として (1)中国語は声調(高さアクセント)と強さアクセントの双方を有する. 「軽声」は無強勢音節であると同時に固有の声調を失う. かつ通常短い. 中国語のプロソディーを記述するに際して遭過する大きな問題の一つは, 高さ強さ長さの特異性が交叉して現れる「軽声」をいかに処理するかということである. 従来の考え方は概ね次の3種に分けられる(i)強さアクセントに伴う現象と考える. (ii)声調と強さアクセントの双方に関連する現象と考える. (iii)声調の1種と考え, 中国語には5種の声調があると見なす. 50年代になると, 「軽声」の特徴は強さにあるのではなく, 長さにあることを実験に基いて主張する説が出された. また, 「軽声」は強勢音節に前接する音節であると一般に考えられているが, 強勢音節が後接する場合もあるという説が出された. これは, 実験的に確められる. (2)2音節語は通常第2音節が強勢されるが, ある文の中では第1音節に強勢が移動することがある. それは対比的な目的ではなく, リズム強勢であると考えられる. II 音調を中心として (1)四声のうち, 第2声と第3声の類似がしばしば指摘される. 日常の談話においては, 両者の音響的形が逆になることが少なくない. さらに, 実験によれば, 日常の談話の中では, 四声のいずれも平坦調すなわち第1声と同じ形となる可能性があることが判った. (2)声調と文音調との関係は, 趙元任教授によれば, 同時的付加と継起的付加の2方式がある. 実験によれば, 前者は認められるが後者は確認できない. 声調が文音調にどのような影響を受けるのかは, 現在まだ事実を十分明らかにすることができていない.
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