研究概要 |
本年度は、6歳の被験児について7か月間、足首周辺動作を含み数種のモデルパターンからなる動作訓練を実施するとともに、毎セッションの訓練後の歩行の状態をビデオ録画し、ビデオ拡大装置を付加したビデオ動作分析システムを用いて分析を行った。 本児の歩行の不自由さに関する状態の分析に基き、以下の動作訓練のモデルパターンを設定した。それらは、足首の不当緊張の弛緩を促すもの、股関節回りの不当緊張の弛緩を促すもの、つま先立ちの際の脚部の力の使い方を促すもの等であった。 動作訓練の経過によると、足首、膝周辺動作については、初期に左右ともに背屈方向の不当緊張が強く、特に左足首には外反方向とそれに伴って膝の屈曲方向への強い緊張の出現が見られたが、後半のセッションではそれらが殆ど見られなくなった、その他、股関節回り、つま先立ちの際の脚部の使い方等に関しては、不当な緊張の自己コントロール、及び適切な動作の護得が進展したが、終了時点でも部分的に問題が残った。 第1セッションと最終セッションの歩行データについて、さらにそれらを健常児の歩行データと比較、対照した。その結果、 1.踵の着床,歩容の左右差,歩行時の振り出し脚に関する前進要素,そして蹴出し期の速さと期間,角度については大幅な改善が認められた。 2.一方、踵が着床してからの膝角度、各部位の角度については大幅な相異は認められなかった。 これらの結果を総合的に考察し、蹴り脚の足首周辺動作の改善により、遊脚期の脚の動きに影響をもたらすこと、今後は着床期の脚の動作について検討する必要のあることを明らかにした。
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