研究課題/領域番号 |
60460026
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
黒田 規敬 東北大, 金属材料研究所, 助教授 (40005963)
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研究分担者 |
西谷 龍介 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (50167566)
佐々木 芳朗 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90101154)
仁科 雄一郎 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (90005851)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1986年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1985年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | ハロゲン架橋型白金錯体 / 電荷密度波 / ソリトン / ダイアモンドアンビル / 顕微分光装置 |
研究概要 |
金属的電導性を有する低次元構造物質は低温において電荷密度波またはスピン密度波を形成して絶縁体になる。中でも強い電子-格子結合と電子相関の両相互作用が共存するような一次元物質は有限温度で1eV程度のエネルギー禁止帯幅を持ち、その結果励起子生成が可能となる点で光物性上特に興味深い。このような一次元電荷密度波半導体の電子状態にはスピン密度波的性格が強く混合し、通常の半導体とは根本的に異った種々の興味ある電子物性を期待することができる。例えば、ポリアセチレンと同様に、ソリトンとしての属性を備えたドメイン壁が素励起として形成され得ることが最近の理論的研究によって予言されている。ハロゲン架橋型白金錯体のように、長くて一様な鎖状結合から成る固体単結晶においてこのようなソリトンの存在が実験的に検証されたならば、自由粒子としてのソリトンの動力学的性質の研究が初めて可能となるため、物理学上極めて重要である。一次元電荷密度波半導体のエネルギーギャップやソリトン形成エネルギーは、金属原子間の電荷移動エネルギーに強く依存する。そこで本研究ではこの電荷移動エネルギーに対して最も有効な摂動を与え得る手段として圧力に着目し、ダイアモンドアンビル加圧セルと近赤外より可視域にわたる顕微分光装置を製作して、塩素並びにヨウ素-白金錯体およびその類似塩の一つであるウォルフラム赤塩における、偏光光吸収スペクトルの静水圧依存性を詳しく測定した。その結果、何れの物質でも電荷移動エネルギーの増大によって金属的状態に近づく効果が極めて大きいことを明らかにし、更にソリトン状態と電子帯間の遷移と同定されるギャップ内吸収帯を見出すことに成功し、その分光学的性質の詳細を明らかにした。これらの成果はポラロイド直線偏光子を試料と共に直接圧力セル中に封入するという、本研究で開発した独自の技術によって初めて得られたものである。
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