配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1987年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1985年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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研究概要 |
1.近年, 気象衛星観測によって数10Km〜数100Kmの水平規模をもつ, いわゆる中規模擾乱が対流雲系として明瞭に示されるようになった. これらは従来の気象観測網では検出し難いものである. 本研究では, 日本付近の中規模渦状体流雲に着目し, (1)通常の気象観測資料の他に静止気象衛星「ひまわり」観測資料を用いて渦状擾乱を検出し, 発生から消滅に至るサイクルを追跡する. (2)その擾乱と一般場との関係を調べる. (3)数値実験および室内模型流体実験により中規模渦の発現機構を究明する. (4)風のシアーや収束を伴う一般流中の積雲対流群モデルを改良し, 数値モデルにそれを導入して渦状擾乱のライフサイクルの追跡を試みることなど研究目的とする. 2.上記の事項に関する研究を実施し, 以下の結果を得た. (1)最近数年間につて気象衛星「ひまわり」の3時間毎の雲画像を調べてみると, 日本海上で数10Km〜数100Kmの水平サイズをもつ渦状雲が, 発現する頻度の高い海域はa)朝鮮半島東方およびb)北海道西方の二つに限定される. これらの渦状雲は低気圧性の回転を示し, 北西から南東へ〜10ms^<-1>の速さで移動し, 多くは数時間のライフタイムであり, その一部は本邦日本海沿岸に上陸し, 間もなく消滅する. (2)日本海上寒帯気団内の水平シアーと収束を伴う帯状雲の発現し易い海域は上記渦状雲の頻発域と一致する. すなわち, a)沿海州からの北よりの風と朝鮮半島からの西よりの風とによる朝鮮東方海上の収束帯, b)沿海州からの西よりの風と北海道側からの東よりの風とによる北海道西方海上の収束帯とである. (3)対流圏上層には発達した気圧の谷あるいは寒冷渦, 下層では北西季節風という状況下で形成される厚い潜在不安定層中に地形の影響を受けて水平シアーを伴う収束帯が強化されてい. 中規模渦状雲はそこに発現し, 日本海豪雪の要因の一つとなる.
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