研究課題/領域番号 |
60460053
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
地質学一般
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
竹内 章 富大, 理学部, 助手 (20126494)
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研究分担者 |
酒井 英男 富山大学, 理学部, 助手 (30134993)
広岡 公夫 富山大学, 理学部, 教授 (30029467)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
1986年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1985年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | 線量年代測定 / 熱螢光(TL)測定 / 電子スピン共鳴(ESR)応用計測 / 活断層の活動性 / 地震の編年と再来周期 / 地震動による液状化 / 考古地磁気測定 / ネオテクトニクス |
研究概要 |
本研究では歴史時代に地震活動を起した経歴のある活断層を対象として、再来周期や規模などの活動性を評価する上で基礎となる活動年代測定を行った。ここで用いた手法は考古学的時代範囲をカバーする必要から、熱螢光(TL)および電子スピン共鳴(ESR)による線量計測法と地磁気の永年変化曲線から求める古地磁気測定法である。本研究では断層運動の年代を、地震動にともなって生じる噴砂痕や擾乱構造に記録されている古地磁気の年代として、または断層面に沿う剪断破砕によって生じる断層ガウジの年代として検出を試みた。この結果、これらの手法は古地震の年代決定に役立つことが判明しその好例を示すことができた。研究の主対象は歴史記録により最新活動年代が既知(1858年)とされる跡津川断層である。地質調査の結果、主断層近傍で液状化を起こし流動変形を行った試料が得られた。測定された磁化方向から考古地磁気学的におよそA.D.1800年頃に磁化を獲得していることが判明した。この年代値はまさに史実と一致する。断層の最新活動が古地磁気学的に決定されたことになる。一方、同じ露頭から採集した試料の線量年代を検討した。まずこれに先立って、手法の検定のため、【^(14)C】法で28000〜35000年の材化石を多量に含む湖成層,深海石灰質堆積物,貝・サンゴ化石の年代を測定し、TL法ESR法ともに良好な結果を得た。当の断層ガウジの線量測定では人工照射の線質や照射量・率によって信号の挙動が変動することがわかり、剪断を受けていない通常の試料に比べて決定精度が悪い。しかし、従前の活断層の線量年代の測定例が数万年の値であったのに対し、今回の結果では数千年以下となった。跡津川断層の最も若い年代値としては300年〜350年前という値が得られた。またTLでは、年代とは別の情報として、この断層面では240℃以上には温度が上っていない可能性も示唆される。今後は、塑性的変形が線量に及ぼす効果を検討する必要があろう。
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