研究概要 |
本研究課題のもとで得られた成果は次のように要約される. 1.駿河湾の地質学的資料の収集・整理 駿河湾の海況, 地質学, 古生物学, 地震・地球物理学に関する文献を整理し, 目録を作成するとともに, 「駿河湾の文献目録II」として出版した. 2.駿河湾・相模湾底の堆積学的研究 駿河湾・相模湾両海域における底層流の挙動について, 海底カメラと潜水艇調査による成果をまとめた. また, 駿河湾底貿の重鉱物組成とその分布を規制する要因について予察的検討を加えた. 3.南部フォッサマグナ地域の新第三系・第四系粗粒堆積物の堆積学的研究 (1)身延地方に分布する異常に厚い新鮮世曙礫岩の岩相解析を行ない, 粗粒砕屑粒子の起源と堆積過程, および堆積環境を明らかにした. その結果は出版公表された. (2)更新世蒲原礫層と別所礫層について層序学的・堆積学的研究をおこなった. とくに, これらの岩層の礫種組成, 礫ファブリックの解析から礫の運搬機構, 古流向, 礫の供給地, 堆積環境について新資料を得た. 4.北海道日高衝突帯新第三系の堆積学的研究 日高山脈西緑南部地域と東側の十勝南部に発達する新第三系礫貿堆積物について, 岩相, 礫種組成, 礫ファブリックなどの解析を行った. その結果礫の運搬機構と運搬方向に関して豊富なデータを得た. これらの成果は日高山脈の隆起運動と礫貿堆積物の堆積作用との関係に新資料を提供する. 5.今後の研究計画 以上の成果をもとに, 典型的な衝突型造山運動に関連した堆積物とされるヒマラヤ山地前緑のシワリク層との比較研究をインドのシワリク層研究者と共同で行なうことにしている
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