研究概要 |
将来の超高密度、超高速度LSI実現の鍵を握るのは配線技術である。本研究はこの重要なテーマに対し、配線用金属の形成技術,材料物性の研究さらに配線構造の理論及び実験的研究を総合的に行い、超高速信号伝播に適した配線技術の基盤を確立した。まず半導体基板表面に、超高純度,超高品質の金属薄膜を形成する新しい手法として、DC-RF結合モードバイアススパッタ技術を開発した。本技術は、プラズマプロセスにおいて重要な役割を果すイオンのエネルギを、外部から与えた直流バイアスによって精密にコントロールできるという大きな特徴を有している。その結果、成膜速度を自由にコントロールして大きな成膜速度が得られたのみならず、形成した金属薄膜の物性も制御できることが分った。実際、この技術により形成したAl薄膜,Cu薄膜は、いずれも完全な(111)配向をを示し、表面も非常に平滑度の高いものが得られた。またAlに関しては、Al成膜中のイオン照射量をコントロールすることにより、400℃の熱アニールを行っても全くヒロックの発生しないヒロックフリーの薄膜が形成できることが分った。また、配線における超高速信号伝播を理論及び実験の両面から解析を行い、従来のLSI配線構造では将来の超高速動作には対応できないことを明らかにし、その結果、Metal-Oxide-Metal(MOM)構造の配線を提唱するに致った。上述の技術で形成した純金属材料を用いてMOM構造を実現し、さらに77Kの低温動作をさせることにより、低抵抗化による高速化と同時に超高速信号伝播に伴う瞬間的大電流に対しても、十分なエレクトロマイグレーション耐性を持った配線が実現できる。
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