研究概要 |
電話を中心とした現在の電気通信網が広く光ファイバを取り入れて一大飛躍を図るためには, 広帯域の動画像サービスの導入が不可欠である. 光ファイバ網により動画像サービスを提供する場合, 同一の光ファイバ加入者線に一般通信をも相乗りさせて提供する通信・放送総合網が有効な適用形態の一つとして考えられる. 本研究では, このような背景から, まず, 将来性の高い高品位テレビ放送と中・狭帯域通信を想定した通信・放送総合網について, その加入者網構成法と経済評価法を検討した. すなわち, 多チャネル放送サービス提供のためにセンタ局と加入者の中間にリモート・スイッチを設置する2階層の星状×星状網を提案するとともに, 一評価モデルを例として網コストを最小化する加入者網構成法を示した. 網コストに関する検討により, 放送分配を行う多重接続スイッチが網コストのかなりの部分を占めることが明らかとなった. 従って, 放送分配スイッチのコストをいかに小さくするかが通信・放送総合網実現の鍵となる. 本研究では, まず, 多重接続呼の同時生起という条件の下での非閉塞多重接続網の構成法を提案した. 次に, 3段スイッチ回路網における多対一接続の性質を検討し, パラメータの与え方によっては, 単純格子スイッチの6割程度の交差点数でも, 呼損率0.0001程度のスイッチ回路網が設計できることを明らかにした. 更に特性改善のための二, 三の方法についても検討を行った. 通信・放送総合網では, テレビ会議通信も普及するものと予想される. また, 会議参加の対地数も, 従来のような2対地間の形態のものばかりでなく, 3対地以上の参加する複数対地間の会議も活発に行われることが考えられる. そこで, 多地点間テレビ会議システムを実現する諸方法を比較し, 各対地に表示すべき映像信号のみを放出する簡易な方式をとれば, かなりの回線が削減できることを示した.
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