配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1987年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1985年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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研究概要 |
われわれの知る最も優れた情報処理装置である脳の計算原理を, あきらかにし, 全く新しいコンピュータの設計に役立てることが, 3年間にわたる本研究の目的である. その結果は, つぎの三つのレベルに分けられる. 1.神経細胞レベルの研究 神経繊維上を伝わるパレス列の性質を, 反応拡散方程式を用いて研究したパルス列にたいし, ある位相幾何学的な, 特徴量を定義し, その計算法とパルス列の安定性との関係を明らかにした. 2.神経回路網レベルの研究 このレベルの研究は, 本研究の中核をなすものである. 1)相互に興奮性と抑制性の結合を持つ多くの神経細胞からなる神経場に, トポロジカルな構造を持った情報を与えた場合の解析を行い, 神経場には, 情報源のトポロジーを, 写し取る能力があることを理論的に明らかにした. また, ある場合には, トポロジカルな結合が不安定になるが, その場合には, 脳内に見だされるコラム構造のような, ブロック状の結合が形成されることが, コンピュータ・シミュレーションによって示された. 2)神経統計力学的な手法によって, 連想記憶モデルの, 非平衛状態でのダイナミクスを調べ, 連想記憶モデルの最も基本的な性能である記憶容量を明らかにした. われわれの用いた手法は, 最近用いられることの多いスピン・グラス理論とは, 全く異なっている. 3)統計物理学的な神経回路網モデルであるボルツマン・マシンの学習則と状態変化則の幾何学的な意味を明らかにし, ボルツマン・マシンの多値化, 実数値化をおこなった. 4.アルゴリズムのレベル 神経回路網に関する基礎的な研究を踏まえ, 動画像から物体の面の傾きと運動を抽出する並列アルゴリズムを提案した.
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