研究概要 |
本研究は, 知識処理=記号処理を並列計算機を用いて支援していく際のプログラミング言語とプログラミング環境および計算機アーキテクチャを研究するものである. この研究の独創性は以下の点にある. このうち3と4は本研究の過程で見い出されたものである. 1.並列オブジェクト指向言語DinnerBellの設計, 実装を行なった. これよりプログラムのもつ並列性の自動抽出という他に例を見ないオブジェクト指向言語ができた. またプログラムの記述性で問題となる非決定性についてはメッセージの待ち合わせであるjoinを導入することによって解決した. いろいろな記述例よってこの言語が十分な記述力があることが判明した. 2.DinnerBellのコンパイラ, デコンパイラの作成により, プログラムの名前を知的データベースに取り込むシステムを作成した. 3.OS等で使われる名前についての調査によって, 名前と高階論理のタイプの対応が明らかになった. これにより単にデータベースとしての名前管理から, プログラムの名前検証というレベルにまでシステムを高めることができた. 4.joinを使ったピュアなオブジェクト指向言語は, ペトリネットとの対応が非常によく, これを用いたデバッグシステムについて研究した. 5.オブジェクト間の大域的な関連は, インヘリタンスとオブジェクト間の参照関係から知ることができる. これらの効果的な表示, 探索機構について研究した. 6.コンテクストをトークンとして動作するデータ駆動計算機をシミュレーションを通して研究した. これにより, オブジェクトを単位とした簡単で効果的な負荷分散がなされていることが分かった. これはいわゆるマクロデータフローに対応する.
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