研究概要 |
管水路系の空気混入流として, 低速な流れでは下水管路での流水, 高速流ではダムの放流管内の流水が, 土木構造物としては考えられる. 本研究の当初はこの双方について研究する予定であったが, 期間内では, 低速流水の下水管内の流水のみについて行なった. 高速流については今後引つづき研究してゆく. 下水管路の様に管路延長が長いと, 一つの管路内で, 高速流部分で水の中に混入した空気が分離してゆき, 上流側と下流側で異った流れが発生する. 高速流の部分では層状流であったのが, 下流にゆくにしたがってプラグ流へと変化してゆく. したがって同一管内で, 流れの抵抗が変化してくるために, プライシング現象のように特異な現象が発生してくる. これは分離していた空気が, 下流にゆくにしたがって結合し, その部分が大きくなると, 流下抵抗が増大し, これを流下させるためには, 圧力勾配の増加をもたらす. 圧力勾配がある値より大きくなると, 急激な流動が発生し空気が流下する. このような事が周期的に発生する現象である. 本研究の実験水路でのプライシング発生の限界流量は決〓できた. しかし, これを実際の管路にあてはめるには, 流れの相似性について今後研究する必要がある. 模型での空気の上昇速度も, 原型での空気泡の上昇速度も同じである事を考慮すると, 模型での気液の分離は起りやすくなっている. 又, 原形での水の流れも, 模型より高速であるので, 乱流の程度も大きく, この事も原形での気液の分離が起りにくい原因となっている. したがって, この点を解明しないと, 模型での研究成果を現地に〓用する際に充分の注意が必要となる.
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