研究概要 |
梁降伏型のR/C骨組は, 繰返し水平力の作用下で柱梁接合部内の梁主筋の定着弛緩による復元力特性の劣化を生じ易いが, これを阻止し骨組の靭性を確保するために, 梁主筋を付加して梁の塑性ヒンジ発生位置を柱面から隔離する場合の諸条件, 梁の塑性ヒンジ域ならびに柱梁接合部パネルの横補強の効果, および高強度太径鉄筋使用時の梁主筋の柱梁接合部内定着性状を実験により検討し, 大要次の知見を得た. 1.梁主筋に90°フック付の添筋を付加して梁の塑性ヒンジ発生位置を所期の通りに移動させて接合部内での定着弛緩を阻止することは可能であるが, ヒンジ発生位置を柱面から離し過ぎるとヒンジに大きな塑性回転能が必要となり, ヒンジ域でのずれ剪断変形が顕著となる. 2.梁上端筋と下端筋への添筋に異なる長さを興えて, 正負の曲げに対する塑性ヒンジ発生域を重複させないようにするとヒンジ域のずれ剪断変形を避けることができ, 骨組に大きな靭性とエネルギ吸収能をもたらす. 3.柱成と梁主筋径の比が23の柱梁接合部を対象として梁の塑性ヒンジ域の横補強の高低と接合部パネルの横補強の高中低の組合せにより梁主筋定着弛緩防止の効果を検討した結果, 梁のヒンジ域高補強は効果が少なく, 接合部パネルの高補強が効果的であることを確かめた. パネルの補強には横補強と合わせて柱中間筋の存在が有効である. 4.高強度太径鉄筋(SD50, D57)の柱梁接合部(_Cσ_B=350Kg/cm^2)への通し配筋は, 主筋径との比23程度の定着長では抜け出しが大きく, 約1.5倍の定着長が必要である. 梁主筋折曲げ定着は, 水平定着長を鉄筋径の17倍とし, 折曲げ背後に柱主筋まで開角45°の応力伝達域を形成するコンクリート厚を与えれば靭性に富む定着ができる. 定着板による定着長削減は, パネル高補強との組合せで可能である.
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