研究概要 |
(1)空調室内の微生物汚染の実情:居住状態の3病院, 4事務所の室内において, 空中浮遊真菌, 細菌の濃度レベル, 変動, 粒径分布, 一般粒子との関係, 在室密度・活動強度等との関係などを実測し, 空調機器の汚染による影響を求め, 多くのデータを得た. (2)空調機器の汚染機構と室内への影響:大小延べ5ビルの空調設備について, ダクトを含めて細菌, 真菌による汚染状況を, 菌の種属の同定, 吹き出し口からの放出, その変動, 放出量等を実測定量した. またルームエアコンによる汚染の実情とそメカニズムの解析をおこなった. 空調機器上の微生物には土壌起源のものを始め種々見られたが, 室内空気中に発見されるものと必ずしも一致しなかった. 室内空気中の細菌粒子の多くは人起源であり, 真菌粒子は空調機器起源である可能性がある. 吹き出し口からの放出は, 起動, 停止, 点検口開閉などの乱しにより一時的に増大するが, 定常運転時には比較的小であった. (3)微生物汚染の評価方法:空中菌の捕集を通じて室内の微生物汚染の評価を行うに必要な測定器の基本特性を明確にした. すなわち, 真菌, 細菌の粒径分布を求めた結果, 比較的大型粒子の影響が大であることが明らかになったので, それらを計測するための8段型アンダーセンサンプラを開発し, 落下菌の予測方法を確立した. また微生物粒子は比較的広い分布形を有するので, 粒径分布決定について補正を要しないことも判った. (4)空調機器の微生物汚染の評価方法:定常運転時と基準的乱しを与え, 細菌, 真菌の濃度変化を計測すると同時に散乱光型粉塵計などで一般粒子のモニターを行い, さらに機器各部の表面汚染の定量とその同定を行うのが望ましいが, 種々の問題があることが明らかになった.
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