研究概要 |
従来, 建築計画・都市計画において, その規模, 配置を決定するのに, 利用者である人間の行動を計画案評価の指標としてきたが, 空間の移動手段である車については, ほとんど利用できるデータが無かったこともあって, 考慮されていなかった. 本研究では, 歩行者の環境の中から車を締め出すというのではなく, むしろ共存するためには, どのような融分関係にあるべきかを明らかにするという立場で, 調査・分析を進めた結果, 人と車の接点となる駐車場の利用に関する膨大なデータが得られる一方で, その動きを予測するための行動モデルを開発した. 具体的には, 人間と車とが競合・融合する場所として, 奈良県の天理市を取り上げ, ここで催事があった場合の大量の人間と車の動き(フローとストック)を実測調査した. この結果, それぞれの行動圈域が設定されるとともに, 低速度で移動(渋滞)中の車は, ある意味で動的な駐車場とみなせることを明らかにした. 一方, パーソナルコンピューターを用いて, APL言語により, 人と車の流れ, 及び駐車場の配置を評価するモデルを作成した. この結果, 施設の分散配置と流れのコントロールが, 市内の混雑を解消する有効な手段であること, さらに, 大規模駐車場を離れたところに設け, シャトルバスで運行する方式が効果的であることを指摘し, 実際に天理市で実施したところ, 予想以上の効果をあげた.
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