研究概要 |
岩盤モデルを作製して、岩盤の冷却過程に関する基礎的研究を行うとともに、安房トンネルおよび菱刈鉱山における原位置調査を実施して、坑内気象に影響をおよぼす種々の要因について検討した。その結果、つぎのような研究成果を得ることができた。 1.パソコンによる坑内通気設計システムの開発 鉱山現場で計測された温度,湿度,風量をもとにして各風道の比抵抗,濡れ率,経時係数などを決定し、これらの入力データをパソコンに与えて、坑内各所の温度・湿度および風量を同時に予測計算するシステムを開発した。 2.温度伝導率の原位置測定法の開発 坑内気象の予測計算を行うためには、鉱山の原位置において岩盤の熱特性を測定する必要がある。本研究では、岩盤モデルを利用した基礎実験を行ない、その結果から、風道周辺の2点の岩盤温度の経時変化を実測すれば、岩盤の温度伝導率が簡便に側定できることを明らかにした。 3.安房トンネル供用時の気象予測 トンネル内気象の予測計算法を開発し、一般国道158号の長野・岐阜県境に計画されている安房トンネルを例にとり、坑外の気象条件,岩盤の初期温度および熱特性などを実測して、供用時のトンネル内気象の予測計算を行った。 4.菱刈鉱山の通気計画 菱刈鉱山は霧島温泉地帯に近接しているため、坑内各所で高温の湧水や滴水が見られ、坑内気象が悪化している。本研究では、パソコンによる通気設計システムを利用して、坑内各所の温度,湿度および風量の予測計算を実施して、合理的な通気および冷却計画をたてるための基礎資料を提供した。
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