研究概要 |
自然の条件によって生成された複雑な形状の鉱体を採掘する鉱山や異常な地圧状態にある岩盤内を開発する場合には, また, 鉱柱を回収する場合のように安全の確保と採掘率の向上という相反する問題を同時に解決しようという高度な設計をめざすときには, 3次元解析による岩盤挙動の予測が必要であり, 計算機の高性能化はこれを可能にしつつある. そこで複雑な形状効果を比較的簡単に解析できる変位不連続法による準3次元解析システムおよび完全3次元解析システムを開発した. また, 実際の採掘設計に資するために, 岡山県久米郡柵原鉱山, 札幌市定山渓豊羽鉱山, 岩国市喜和田鉱山および北九州市小倉鉱山の坑内採掘のそれぞれについてモデル化し, 開発された3次元解析システムを用いて岩盤挙動の予測解析を行った. また, 柵原鉱山については, 解析によって予測された, 採掘の進行に伴う天盤沈下量の増大とその後実際に計測された結果とを比較して, これらの解析システムの適用性についても検討した. 実際の岩盤は不連続であって, その不連続性を高度に考慮にいれた解析も必要である. そこで, 任意の形状のモデルに適用できるように, 3角形要素と4角形要素の両者が混在する形での個別要素解析システムを開発した. そして, 実際の採掘設計に資するために, 愛媛県越智郡宮窪町の大島石採石場の採掘面を種々の形にモデル化して, 地震時の岩盤挙動が, 採掘面の形, 不連続面の幾何学的条件, 不連続面の力学的条件によってどのように影響されるかについて解析を行った. また, この解析システムと差分法を用いた非定常流れの解析との連成解析により, ガス突出現象のコンピューターシミュレーションを行った. 一方, 採掘の進行に伴って実際に誘起される変位や応力を計測しながら対処する必要が生ずることもあると思われる. そこで, 柵原鉱山と小倉鉱山においは, 長期間にわたってこれらの測定が行われ, その適用性が検討された.
|