研究概要 |
本研究では、主たる接合母材としてNi基超耐熱鋳造合金であるMM007を使用し、液相拡散接合時の母材の溶融現象、接合部の組織的検討ならびに982℃における引張試験を実施した。得られた主要な結果を下記に要約して示す。 1.母材の溶融現象 (1)母材の溶融過程は、Nernst-Brunnerの式(n=ns〔1-exp{-K(A/V)t}〕,n:t秒後の溶質濃度,Ns:飽和濃度,K:溶融の速度定数,A:反応面積,V:反応液相の体積)に従うことが判明した。Kは、1100℃〜1150℃の範囲で、温度の上昇とともに増加した。(3)母材表面に酸化皮膜がある場合、皮膜厚さの増加とともに、母材の溶融速度は低下した。(4)接合欠陥形成に及ぼす酸化皮膜の影響として、液相と母材との反応性を阻害する影響及び接合界面に凝集して界面の強度を低下させる影響があることが推察された。 2.組織的検討結果(インサート金属:MBF30,35,80,90) (1)MBF-80,90では、液相消滅後、1100℃×24hrの均一化処理を実施したところ接合部の組織は、ほぼ母材と同等となった。(2)本接合法においては、等温保持中に母材から固相が、液相中にエピタキシャル成長し、接合がなされた。 3.982℃における引張試験結果 (1)引張性質には大きなバラツキが認められた。破断面のフラクトグラフィ的検討を行ったところ、界面平坦破面の形成が、その主要因であった。(2)インサート金属としては、MBF-80を用いた場合、最も有好な引張性質が得られた。(3)30μmфのスペーサを用いることにより、界面平坦破面の形成を防止でき、ほぼ母材に匹敵する引張性質が得られた。(4)接合温度を変化させても引張性質には有意的な差異は認められなかった。
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