研究概要 |
アーク放電の電極として、純タングステン電極および酸化物入りタングステン(マグネシア,ジルコニア,トリア,セリア,イットリア,ランタナ各酸化物を2%含有する各種タングステン電極、および、セリア,イットリア,ランタナの中の2種づつを各1%ずつ含有する3元系タングステン電極)電極を試作し、それらの電極を用いて、不活性ガス雰囲気中でアーク放電を行ない、その性能の比較と動作機構に対して検討した。特性の比較は、アーク放電の高周波起動の容易さ,電流電圧特性,アーク圧力とその安定性,長時間大電流放電による電極の溶融変形と消耗,シールドガスの影響等について行ない、その結果、従来広く用いられてきたトリア入り電極や、純タングステン,マグネシア入り,ジルコニア入りの各電極に比較して、ランタナ入り,イットリア入り,セリア入り,および、3元系各電極が、これら諸特性において格段に優れた性能を有することを明らかにした。 さらに、電極の陰極部の動作温度の計測を行ない、これらの優れた特性にこの動作温度の低いことが強い関連性を有することを示した。 また、シールドガス中に混入する酸素は電極動作の安定性や電極消耗に強い悪影響を与えることを明らかにし、その原因としての『RIM』の形成過程をしらべ、その機構を議論した。『RIM』(傘状堆積物)の形成を抑制し、電極消耗を低減する方法として、銅や高融点セラミックスの被覆を行なった複合化電極を試作検討し、その効果を確認した。さらに、これを進めてより優れた性能を有する複合電極の可能性を考察した。
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