配分額 *注記 |
7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1985年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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研究概要 |
改良山成工法によって造成された農地は, それまでの地形や水循環の構造が大きく変化し, これが流出特性の変化に結びつくと考えられる. 現在, 農林水産省によって農地開発事業が行われている京都府北部の丹後地区の造成地および未造成地に流出試験地を設定し, 土壌・水文調査を通じて農地造成に伴う水循環構造の変化について研究を行った. まず, 土壌調査により以下の点が明らかとなった. 1)造成農地では従前の山林地に比較して, A_θ, A_1層等の有機物を多く含む土層が除去され, 土壌の固相率が高くなったことから, 流域全体としての保水性が低下している. 2)大型機械による切盛土工, 整地工の結果, 流域斜面の透水性が大きく減少し, 雨水の流出率増加の主因となっている. 3)水路・道路の整備の結果, 流域全体に占める非浸透域の割合が増加し, これが洪水時の流出量増加に大きく関与している. また, 流出調査から洪水・低水流出特性の変化として, 以下の点が明らかとなった. 1)上記の流域土壌の物理的変化により, 洪水時には雨水の到達時間の短縮と流出率の増大が重なり, ピーク流出量が市街地なみに増大する. 2)低水流出特性については, 調査期間が不十分で明確な結論を打出すに至らないが, 低水時の流量逓減特性に若干の変化が認められる. 3)こうした洪水・低水流出特性の変化は, 造成地末端に付設される沈砂池に流量調節機能をもたせることで, 洪水量の軽減, 渇水量の補強が実現され, 農地開発に伴う流出変化の対策として有効な施設であることが認められた.
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