研究概要 |
二ケ年にわたる本研究により得られた成果を列記すると、以下の通りである。 1)ロータリ耕うん部に作用する土壌抵抗合力に基づいて、帰還・還元動力を予測する理論式を与えた。 2)エンジンからロータリ耕うん軸までの動力伝達系は、高速回転のロータリ耕うん部に生じる耕進力の作用のため、耕うん動力の一部が車軸を通じて帰還するという閉ループ系をなしており、先に坂井らは、ロータリ耕乗用トラクタにつき、その動力伝達モデルを提案している。この坂井らのモデルを援用して、ハンドトラクタを対象に一連の動力伝達式を規定した。 3)以上の諸式の妥当性の実証、あるいは、ロータリ耕うん土壌反力,各動力の具体値を把握するため、ロータリ耕うん軸に作用するトルク,前方・上方力,車軸,エンジン動力を実測する動特性計測システムを設計・製作した。 4)本計測システムにより、人工土壌構において、耕深を一連に変化して、これらの諸量の実測を行った。その結果、耕うん抵抗合力の前進方向とのなす角は30〜60゜で平均45゜に達することが明らなになった。また、以上の諸動力の測定結果により、耕うん動力還元・帰還比,耕進動力還元・帰還比,あるいは、エンジン・ロータリ動力伝達効率は、それぞれ、0.07〜0.11,0.02〜0.04,0.92〜0.97,0.2〜0.4および約97%であることが把握された。なお、これらは耕うん抵抗合力を入力することにより、先に規定した諸理論式で、極めて良く、近似しうることが実証された。
|