研究概要 |
先天性代謝異常症の副腎皮質過形成症, 胆道閉塞症, 有機酸代謝異常症などは早期発見, 早期治療が望ましい. 副腎皮質過形成症のマススクリーニング法として酵素免疫測定法を開発し, すでに実施の段階に達しているが, 陽性検体について二次検査による精密診断が必要とされている. 本研究ではこれらの先天性代謝異常症の病態解析, 精密診断に適した高速液体クロマトグラフィー法の開発を目的とした. これらの代謝異常症に関連のある生体成分-コルチコステロイド, 胆汁酸, 有機酸を対照としUV, 蛍光または化学発光法を検出システムとする高感度なHPLC法を開発した. 1.3α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの固定化酵素リアクターを用いHPLC分離されたコルチコステロイドの代謝物(テトラヒドロ体)及び胆汁酸にNADを反応させ, 生成するNADHを蛍光法により検出する方法を確立した. また, フェナジンメトサルフェートとイソルミノールによるNADHの化学発光法を開発し胆汁酸の化学発光HPLC法を確立した. 開発した蛍光・化学発光HPLC法により患者尿中のテトラヒドロコルチコステロイドの測定を行った. 2.ルシゲニンによる還元性化合物の化学発光反応を検討し, α-ヒドロキシカルボニル基により強く発光することを見出し, ルシゲニンをポストカラム試薬とする化学発光HPLC法を開発した. テトラヒドロコルチコステロイド類やフェナシルエステル化した胆汁酸の分析に応用した. 3.フェナシル誘導体をプレラベル化試薬とする有機酸のUV検出HPLC法を検討し, 血液中の遊離脂肪酸の分離分析法を確立した. 本法はルシゲニンをポストロカラム試薬として反応させることにより高感度な化学発光HPLC法とすることが出来る.
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