研究概要 |
寒気が地面にふれると土が凍る、寒気の度合を積算寒度(日平均気温の0°C以下の値を積算したもの)F℃・dayで表すと、土の凍結深Dcmとの間にD=α【√!F】(αは常数)の関係が知られている。地面に植生や積雪があると、凍結深は減る。又凍上が起っても、凍結深は減る。從ってαの値は1から5までの広い範囲になる。凍上を伴なうときの凍結深の減少について、凍上がないとしたときの凍結深をDo凍上率(凍上量Hと凍結深Dとの比)をγとして、D=Do(1-aγ)で表されると考え、この減少係数aについて解析を行ない、実データと比較した。一方、地表面温度を各気象要素を参照して求め、凍上がない場合の凍結深を正確に求める数値解析法を提案した。 (1)凍上内温度分布が直線的で、未凍土内はすべて0℃という簡単なステファンモデルを仮定し、土の凍上率γによって凍結深がいかに減少するかを解析して次の式を得た。D=【√!(2kTt/Lew)】{1-1/2γ(Pw/PiPW-1)}ここで、k-T,t,L,P,W,Pw,Piは、それぞれ凍土の熱伝導率、気温、時間、氷の融解潜熱、未凍土の密度、未凍土の含水比、水の密度、氷の密度である。凍上がないときの凍結深Doは【√!(2kTt/Lew)】であるから、D=Do(1-aγ)のなかのaとしては、a=1/2(Pw/PiPw-1)が得られた。これまでの実測で得られた値をそれぞれに代入すると、Do=3【√!F】、a=0.44〜0.73として求められる。(2)実測された凍結・凍上過程のデータについて、aの値を求めたところ、0.2から1.3までの広い範囲にわたった。凍上率の大きい方が小さな値をとる傾向が見られた。(3)地面における顕熱交換、潜熱伝達、短波及び長波放射、他熱流を考慮して、地面温度を求め、土の熱的性質を加味して、土の凍結深を求める数値解析法を提案した。凍上がないときの土の凍結深を正確に予測する方法を求め、実測値と比較を行なった。
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