研究課題/領域番号 |
60470009
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学一般
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
植田 夏 京大, 化学研究所, 教授 (20027014)
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研究分担者 |
藤吉 好則 京都大学, 化学研究所, 助手 (80142298)
石塚 和夫 京都大学, 化学研究所, 助手 (40135596)
小林 隆史 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50027059)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1986年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1985年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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キーワード | 有機薄膜 / 金属-有機物間相互作用 / エピタキシー / トポタキシー / グラファイト層間化合物 / 電子線エネルギー損失スペクトル / LB膜 / プラズモンロス |
研究概要 |
高電導性やスイッチング現象等の機能を有するTCNQや金属フタロシアニン類の薄膜結晶を、金,銀,銅等の薄膜上に成長させた場合、あるいは逆に有機薄膜上に金属を薄膜として成長させた場合のそれぞれについて、その結晶学的挙動を調べ、両者の界面で生じていると考えられる相互作用について考察を行った結果、それらの組み合せは次の三種に分類できた。 (1)界面において電荷の移動を伴う強い相互作用があり、場合によっては有機薄膜中に金属がイオンとなって拡散し、錯体を形成する場合。 (2)薄膜形成初期において比較的強い相互作用が働らき、その結果両薄膜の結晶軸間に一定の方位関係が保たれるいわゆるエピタキシャル成長が起る場合。 (3)薄膜界面での相互作用がほとんど認められず両者は独立な単純多重薄膜を形成する。 (1)の場合でとくに錯体が生成するときその生成物は微結晶体の集合であるが、それらの微結晶は膜中で一定の方位に並び、トポタキシアルな関係を保って成長している。ハロゲン化金属たとえば沃化カリウム上に析出させた有機薄膜中に金属のみがイオンとなって拡散する場合も見出され、金属化合物と有機薄膜の間にも強い相互作用が生じるが有機薄膜結晶はわずかな電荷の偏りにも敏感に反応するため構造の異なった結晶(多形)を生ずる。(2)の場合にこの現象がしばしば観察された。湿式法すなわちLB法で作った有機薄膜(LB膜)は構造が不均一で多孔性である場合や二次元でなく三次元結晶となっている場合があるなどこれまでの常識に反する結果が得られた。一方黒鉛の層間に侵入した金属イオンと有機分子の二次元配列の決定を行い、これより層間化合物生成機構を結晶学的に解明した。層間のベンゼン分子の配向もプラズモン励起による電子線エネルギー損失の測定から明らかにできることを実証した。
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