研究課題/領域番号 |
60470010
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松尾 隆祐 阪大, 理学部, 助教授 (00028185)
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研究分担者 |
小国 正晴 大阪大学, 理学部, 助手 (50144423)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1986年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1985年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | ガラス状態 / ガラス性結晶 / 配向緩和 / エンタルピー緩和 / 分極緩和 / シアン化ルビジウム / シアン化カリウム / 氷の多形 |
研究概要 |
結晶や液体などの凝縮相の物理化学的性質は分子振動のように速かに熱平衡に達する自由度と分子や原子の並進的あるいは回転的拡散をともなってゆっくりと変化する自由度から成り立っている。本研究は後者の自由度の熱平衡からのずれと熱平衡への復帰に関するものである。配置自由度について熱力学的に非平衡にある空間的に均一な状態をガラス状態という。ガラス状態における緩和は、温度勾配が消滅するときに起る不可逆変化と異り、局所的にも配置に関する温度が定義されないという特異性がある。また分子配向の無秩序性がある結晶については結晶性ガラス状態がありうる。本研究ではガラス状態における緩和をエンタルピーと電気分極の変化を通じて測定する装置を製作した。エンタルピー緩和は断熱状態におかれた試料の自発的発熱および吸熱として測定される。測定される温度は振動自由度に関するものであるから断熱下における発熱と吸熱はそれぞれ配置エンタルピーの減少と増加を意味する。電気分極の緩和はエンタルピー緩和と同時に同一の試料について、緩和電流の測定によって行う。 シアン化ルビジウム、シアン化カリウム・臭化カリウム固溶体、水酸化リチウムをドープした氷、およびりん酸水素アンモニウム・りん酸水素ルビジウム固溶体について熱測定を行い、前3者についてそれぞれ30K,27Kおよび63Kにガラス転移を見出した。従ってこれらはガラス性結晶であると結論される。シアン化カリウム・臭化カリウム固溶体では非指数関数的緩和が見られた。これはガラス状態における緩和のひとつの特徴と考えられる。りん酸固溶体系では緩和挙動が見られなかった。しかし水素結合系の秩序化が低温において徐々に進行することがエントロビー値から示された。以上のガラス性結晶の他にガラス性液体についてもエンタルピー緩和の実験を行い、分極緩和の実験と比較する予定である。
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