研究概要 |
(1)スモールシステムの熱力学(SST)を光散乱データの解析に応用してポリオキシエチレンアルキルエーテルやMEGAシリーズの非イオン性活性剤の, 特異な水溶液物性を明らかにした. (2)以下に示す種々の界面活性剤混合系のミセル及び吸着膜形成を研究し, 各組合せによる物性の相乗的変化を明らかにした. (a)炭化水素系陰イオン性合成活性剤-炭化弗素系, (b)炭化弗素系-MEGA系, (c)炭化水素系-胆汁酸塩. 特に(a)の混合系においては第2CMCと共融点の存在を示した. (3)胆汁酸塩ミセル及び胆汁酸塩-レシチン混合系ミセルの形と内部構造をESRや螢光のラベル法で研究した. (4)脂質の消化吸収における胆汁酸塩の, 眞の役割を知るため, モノグリセリド, ジグリセリドなどに対する胆汁酸塩の可溶化を調べ, 特にケノデオキシとウルソデオキシの胆汁酸塩の物理化学的性質の相違を論じた. (5)炭化弗素系活性剤のパーフロロデカン酸ナトリウム水溶液について, 臨界ミセル濃度及び溶解度を温度のみならず圧力の関数として求め, 状態図を得た. これから臨界溶解温度(Krafft点), 臨界溶解圧力(Tanaka点)を求めて, 熱力学的議論をした. (6)Topjet Drop法により気-液界面の吸着を定量する方法を確立した. (7)同族列アルコールが水中から炭化水素系及び炭化弗素系活性剤ミセルへ移行する際の熱力学量を求める方法を, 熱力学的考察に基づいて呈示した. (8)電荷が分離・分散した非金属性の対イオンを持つ陰イオン活性剤の, 物理化学的性質は, 普通の活性剤と大きく異ることが期待されるので, 合成して諸物性を調べたところ, 溶解度, CMC, ミセル化熱及びミセル化温度領域(MTR)が, 一般の活性剤と著しく異ることが判り, 新活性剤の開発に展望を与えることができた.
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