研究概要 |
長寿命の励起状態にある原子を放電あるいは電子衝撃により気相で生成し分子との衝突エネルギー移動過程を起こさせることによって通常の光励起過程では生成しにくい禁制励起電子状態を効率よく生成させ、特徴的な構造化学的あるいは動力学的性質を発見することが本研究の目的である。昭和60-61年度の研究により、 下記に要約する成果を得た。それらの詳細は、別紙資料のように、論文22報、口頭発表38件(ほかに本研究と密接に関連する論文40報、口頭発表20件)として公表し、あるいは近日中に公表する予定で準備中である。 1.希ガス準安定励起原子と分子の衝突による解離励起過程。(1)シアン化合物の解離励起により生成するCNラジカルの電子励起状態を高分解能発光スペクトルにより解析し、【^4Π】状態の振動回転状態の帰属を確定できた。(2)A【^2Π】状態の高い励動回転励起状態についても帰属を確定し、これらの電子状態に関する分子定数およびポテンシャルエネルギー曲線を正確に求めた。(3)【B^2】【Σ^+】状態との摂動相互作用定数を求め、電子遷移確率の振動量子数依存性を解析した。(4)CNラジカル生成断面積や発光の偏光度の衝突エネルギー依存性、衝突回転緩和過程の速度定数と放射寿命についても知見を得た。(5)CN(【X^2】【Σ^+】)状態の高い振動励起状態の回転定数をマイクロ波分光によって測定した。(6)【H_2】0,N【H_3】,HCl等の分子とHe(【2^3】)原子との衝突による二電子励起状態の生成と解離過程につき、発光スペクトルの解析と動力学的計算により研究した。(7)He(【2^3】S),Ne(【^3P_(0.2)】)とグラファイト表面およびベンゼン吸着表面との衝突による電子放出機構について電子分光法により研究し、固体表面における電子散乱と二次電子放出過程について多くの知見を得た。 2.希ガス高励起リュードベリ原子と分子クラスターの衝突によるクラスター負イオン生成過程質量分析法を用いて、【CO_2】,【NH_3】,【N_2】O,【CCl_4】,ピリジンおよび水和クラスターへの電子付着過程について詳しく研究した。
|