研究課題/領域番号 |
60470017
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
構造化学
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高橋 博彰 早稲田大, 理工学部, 教授 (40063622)
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研究分担者 |
伊藤 紘一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (40008503)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
1986年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1985年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | ビリルビン / CARS / 新生児黄疸の光治療 / 光化学 |
研究概要 |
1.ビリルビンの光化学:期間内に、ビリルビン(BR)の光照射による分子構造変化に関する直接的な知見は得られなかったが、これと密接な関係にあるビリルビンジメチルエステル(BRE)の溶媒による分子構造変化について、赤外吸収スペクトルおよび共鳴CARSにより次のことを明らかにした。BREは無極性の溶媒中ではピロール環およびピロリノン環のN-Hと側鎖のカルボキシル基との間で水素結合を形成しているため、疎水性の部分が分子の外側を向いた水に溶けにくい構造をとっている。これに対し、水素受容性の溶媒中では、溶媒分子と強い水素結合を形成するために、ピロール環とピロリノン環をつなぐC-CおよびC=C結合まわりで回転が起こり、親水性の基が分子の外側を向いた水に溶けやすい構造をとる。吸収スペクトルの比較から、BRの光照射による分子構造変化は、BREにおいて溶媒を無極性から水素受容性に変えたときの分子構造変化と類似したものと考えることができる。このことは、新生児黄疸の光治療はBRが光の照射により親水性の量が分子の外側を向いた水に溶けやすい構造に変化したため、体外に排泄される機構として理解される。 2.ビリルビンの毒性の機構: BRの毒性はBRがミトコンドリアの膜と結合して、その呼吸機能を妨げるためと考えられる。血清アルブミンはBRと強く結合してBRの毒性をなくす働きをする。したがって、BRと血清アルブミンとの結合部位を知ることはBRの毒性の機構を解明する手がかりとなる。これまでの研究では牛血清アルブミンの場合、リジン残基-220とBRのカルボキシレート部の間の静電的な相互作用および疎水結合という説が有力である。本研究で測定したBR・血清アルブミン結合体の共鳴CARSは、BRのピロリノン環のC=Oと血清アルブミンとの間に水素結合が形成されていることを示している。
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