研究課題/領域番号 |
60470023
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学一般
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
梶返 昭二 山口大学, 工学部, 教授 (90035030)
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研究分担者 |
西田 晶子 山口大学, 工学部, 助手 (70144920)
藤崎 静夫 (藤崎 静男) 山口大学, 工学部, 講師 (60035045)
野口 三千彦 山口大学, 工学部, 助教授 (10108772)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1986年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1985年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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キーワード | フルオレン / 束縛回転 / 配座平衡 / DNMRスペクトル / 分子内相互作用 |
研究概要 |
9・アリールフルオレン誘導体のCsp^3-Csp^2単結合のまわりの回転障壁は極めて高く、これまでにも立体配座の研究が多くなされている。このたび対象にとりあげた化合物はアリールの2位にヘテロ原子を有する置換基を導入し、9位置置基との相互作用あるいは酸添加による影響を、特にNMR(DNMR)法を用いて検討した。各々の化合物について得られた知見の概要を述べる。 1.9-置換9-(2-メチルチオフェニル)フルオレン誘導体(1__〜) 9位置換基とメチルチオ基との間に立体反発の働くもの(ap体優勢)、逆に両者の間に引力として働く非結合性分子内相互作用の存在するもの(sp体優勢)、さらに両配座間の平衡が保たれ両配座異性体の観測されるものという三つのグループに分類できた。 2.9-置換9-(2-メチルスルフィニルフェニル)フルオレン誘導体(2__〜) 1__〜を酸化して得られたこれらのスルホキシド誘導体は、1__〜と比較して配座平衡の様子が大きく変化した。スルホキシドに変換されたために分子内の電子状態に変化が生じ、9位置換基とスルホキシドとの間の相互作用が微妙に影響を受けたためである。化合物によっては優勢配座の逆転が生じた。 3.9-置換9-(2-ジメチルアミノフェニル)フルオレン誘導体3__〜 9位置換基としてH、OHのみが合成できた。これらの化合物は溶媒(クロロホルム)中でアミノ基とフルオレン環の電子的反発によりop体が圧倒的に優勢であった。ところがこの溶液にcF_3COOHを添加すると興味ある現象が見られた。すなわち3__〜はCF_3COOHと塩を形成し、そのためにアンモニウム塩のN-Hとフルオレン環のπ電子との間に相互作用が生じ、ap体の安定化が起るものである。フルオレン核に種々の置換基を導入することにより、環の電子密度を変化させNH…π相互作用への影響を調べたところ置換基の電子的性質と安定配座はよく対応していることが判明した。
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