配分額 *注記 |
5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1985年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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研究概要 |
ピリジンカルボン酸誘導体を中心とするヘテロ芳香族化合物が次のように反応形式・反応機構の両面において, 他の化合物には見られない興味ある光化学的挙動を示すことを明らかにした. (1)イオン的反応とラジカル的反応が平行して起こる(当該年度では主としてピリジンカルボン酸アミドのアルコール中での反応を検討した). (1´)その原因は, 異った性格の励起状態が同時に反応に関与することにあることを明らかにした(流酸酸性アルコール中でのニコチンアミドの光反応においては, 励起一重項状態からアルコキシル化が, 励起三重項状態からアルキル化が起こる). (2)4-ピリジンカルボン酸エステルおよびその類縁体(2, 4-および3, 4-ピリジンカルボン酸ジエステルなど)は上記(1)のような光反応持性の他に特異な新らしい型のO_2効果が見出される. すなわち, アルーコル中Ar下での光反応では環の2-位にアルコキシル化, ヒドロキシアルキル化が起こるのに, O_2が存在するこれらが抑制され, 3-位にアルコキシル化が起こるようになる. (2´)その作用は光反応におけるO_2の役割として従来から確立したものとなっている(a)中間体の酸化, (b)一重項酸素の発生, (C)項間交差の促進, などによっては説明されない興味深いものである. 今後もこの光反応における特異なO_2の効果について研究を継続し, 機構の解明と光反応制御の方法をさぐる. (3)上記の知見を光反応の制御に生かし, 有機合成反応に利用するため電子不足ヘテロ芳香族化合物へのラジカル的置換反応を試みた. ラジカルの発生には, 遷移金属イオン存在下の可視光照射, 紫外線照射, Co-60よりのガンマ線照射を用い, アルキル基, DF_3基などをピリジン環, ピリミジン環に導入することに成功した. 特に薬理作用の注目される5(トリフルオロメチル)ウラシルの1段階合成を達成した.
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