研究課題/領域番号 |
60470030
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
天然物有機化学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
加藤 哲夫 九大, 理学部, 助教授 (20037188)
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研究分担者 |
脇 道典 九州大学, 理学部, 助手 (30037212)
青柳 東彦 九州大学, 理学部, 助手 (80037267)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1986年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1985年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
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キーワード | 環状ペプチド / コンホメーション / NMR / エネルギー計算 |
研究概要 |
蛋白質やポリペプチドなどの生理活性はそのコンホメーションと密接に関連している。しかしペプチド等の一次構造とコンホメーションとの関係は未知であった。多様なコンホメーションを許す最小の系である環状テトラペプチドを例にとり、我々は一次構造とコンホメーションの関係を明らかにする規則を初めて明らかにした。即ち、1.分子内水素結合(γターン)の生成が優先する。またエステル結合は常にトランス(t)となる。2.ペプチド結合を右巻きに置く時、D残基の前のC=Oは上向き。3.L-Proの前のC=Oは上向きでシス(c)となる。4.LDDL配列では、Proの有無に拘らず点対称型ctct骨格となる。5.Lペプチド中でGly等不斉炭素を含まないアミノ酸残基はDとして挙動する。N-メチルデヒドロアミノ酸のみは例外で全L配置ctct骨格のC位を占める。この経験則を実証するため、シクロ【(-Pro-Val-)_2】(全L及びLDLD)、シクロ(-Pro-Leu-Tyr(Me)-Ile)(LLDL及びLDDL)を合成してそのコンホメーションを調べ、これらが予測通りであることを示した。後者において、そのLeu-Tyr(Me)二級アミド結合は、LDの時t,DDの時Cになる。これは珍らしい例である。天然物への応用として、植物毒HCトキシンのアナローグであるシクロ(-L-Ala-Gly-L-Leu-D-Pro-)の合成とそのコンホメーションの決定を目指した。現在薄層クロマトグラフィー的に均一な標品を得ている。適用範囲を拡張する試みとして、環状ペンタペプチドへの適用を行った。これはβターンとαターンの2種の水素結合を含むため、完全な予測にはなお慎重な検討が必要であろう。また理論的裏づけとして、シクロ【(-Gly-)_4】の低エネルギーコンホメーションが我々の経験則と一致することを示し、環状チトラペプチドのコンホメーショョンは骨格の安定性によって決まることを明らかにした。
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