研究概要 |
1.4種の1,2-あるいは1,3-ジホフィンキレート配位子(P-Pと略す)を用いて、20種の【[CoX_2(P-P)_2]^(n+)】型錯体を新たに合成した。【X_2】=【O_2】の場合、配位【O_2】の反応性と錯体の立体構造、特にホスフィン配位子の立体的効果との関連を明らかにした。X=ハロゲン化物イオンの場合、トランス体とシス体の2種の幾何異性体を単離し、シス体からトランス体への熱及び光異性化反応を測定し、その反応性に対するジホスフィン配位子の立体的効果の重要性を明らかにした。Xがエチレンジアミンやアセチルアセトナトイオンのような二座キレート配位子の場合、その配位原子の種類(N.O.Sなど)が錯体の熱的安定性にどのように影響するかを明らかにした。 2.基本骨格が【R_2】P【CH_2】CHRNH【CH_2】【CH_2】NHCHR【CH_2】【PR_2】及び【NH_2】CHR【CH_2】P(【C_6】【H_5】)【CH_2】【CH_2】P(【C_6】【H_5】)【CH_2】CHR【NH_2】である8種の四座配位子(4種は光学活性配位子)を合成し、さらに、そのコバルト【III】錯体を40種新たに合成した。錯体の構造はX線結晶解析及びNMRスペクトル,吸収スペクトル,円二色性スペクトルなどの解析から行った。その結果、立体モデルの考察からは生成可能と思われるいくつかの異性体のうち、ある特定の幾何及び光学異性体が特異的に生成しいることが明らかになった。又、光学活性錯体については、その円二色性スペクトルと錯対の絶対構造及び配位リン原子の絶対構造との関連を明らかにした。
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