研究分担者 |
西山 忠夫 九州大学, 理学部, 助手 (10156127)
中田 節也 九州大学, 理学部, 助手 (60128056)
島田 允尭 (島田 允堯) 九州大学, 理学部, 助教授 (00037235)
小川 勇二郎 九州大学, 理学部, 助教授 (20060064)
青木 義和 九州大学, 理学部, 助教授 (00037277)
坂井 卓 九州大学, 理学部, 助手 (70128023)
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研究概要 |
堆積岩の続成〜変成的変化は, 従来, 主に自生鉱物や変成鉱物により調査・研究されてきた. 本研究は, 堆積岩中に固定されている古植物起源の石炭化有機物に着目し, それが堆積直後の植物に近い状態から, 高分子化合物化し, 最後に変成岩中で結晶し鉱物として石墨化する間の変化の程度を数量化し, それを含む堆積岩の続成〜変成領域を, 連続的に調査する方法を試行した. 調査対象を, 九州地方の内帯夾炭新生界およびその基盤の中古生界と, 外帯の四万十帯・秩父帯にとり, 続成〜変成段階は主にその中に含まれる分散型石炭化植物片のビトリナイト反射率Rcとその異方性で判明した. 同時に, 自生鉱物の沸石相, ならびに有機物の石墨化の程度のX線分析結果との対応も行った. RoはC%と対応でき, かつ, 温度の上昇により増加するので, 地質古地温計として利用でき, 被熱履歴の解析が可能になる. 調査の結果, 特に, 新生界における被熱の地域的変化形態が明らかにできた. 内帯新生界では, 中新生における古地温勾配が高く, 地域的には西部ほど高い傾向が見出せた. 外帯四万十帯の中〜新生界では, 逆断層で接する帯状付加体ごとに異なる熱履歴を持ち, 北に高く南に低くなる傾向が見だせ, 延岡衝上断層以南の日向層群でも断層で切られるスライスごとに同傾向が見出せたほか, 構造の歪みが光学性に残り, 構造形成直前に高い古地温環境にあったことも判明した. また, 日南層群の異地性岩塊(オリトリス)形成後の地温の上昇と, その宮崎層群への影響の低下も明らかになった. 九州山地の中・古生界では被熱履歴の複雑さが見出せたが, 詳細は今後の継続調査を必要とする. 九州全体の被熱履歴の地域差は, 内・外帯の対立する構造とその形成過程での火成活動の複雑さに起因する実情が, 本研究の結果で具体的に判明してきた.
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