研究概要 |
1.石英ガラスの熱分解酸化還元反応について、Si【O_2】ガラスは、酸化物ガラスの基本系である。本系について明らかにされた事実は以下のとおりである。(1)高温融液中でSi【O_2】の熱分解還元反応Si【O_2】→SiO+1/2【O_2】が進行する。(2)上記反応は多段階にわたる複雑な経路をとり、中間生成物が不完全構造としてガラス中に残存する。(3)それらには、数種のSi還元体,Si(【II】),Si(【III】)が含まれる。たとえば、≡Si-Si≡,≡Si,≡Si-Si-Si≡,=Si:,:Si=Oなどである。(4)これらは、紫外部に固有の吸収をもち、可視部にケイ光を生じる。(5)同様な反応は、Ge【O_2】(特にSi【O_2】にドープされたGeO2)系に対してはより顕著である。これら還元種の濃度は、溶融時の温度が高い程、また雰囲気のp【O_2】が低い程大きい。 2.Si【O_2】ガラス中のGeの光学的挙動について。1で述べたように、Ge成分はGe(【IV】),Ge(【III】),Ge(【II】)として存在する。(1)4価4配位のGeは、電子トラップとして働らく、即ち5〜240nmより短い光の照射をうけると、=Ge=(5配位)を生ずる。このときガラスは着色する。(2)3価のGeは≡Ge-Ge or≡Ge(【E!´】センター)として存在する。前者は、250nmの光により光解裂をおこし≡Ge-Ge≡→≡Geにより【E!´】センターを生ずる。≡Geは、260nmの光励起により〜400nmにピークをもつ青色のフォトルミネッセンスを与える。Ge(【II】)は、ネットワーク中に溶解したGe(【II】)、即ち=Ge:,Geクラスター(≡Ge-Ge-Ge≡)あるいはGeO分子し:Ge=0)として存在する。これらは、青色ルミネッセンスと、赤色ルミネッセンス(〜560nm励起で650nmの発光)を与える。 3.Si【O_2】ガラス中のPの光学的挙動について、Pは、≡P=Oとして存在する。〜220nmより短波長の光照射ににより、P自身は電子を捕獲する。即ち≡P=Oを生ずる。同時に隣接した酸素上に正孔がトラップされる。酸素上の正孔には、低温安定型があることが見出された。これは、〜600nmにブロードな光吸収を与える。
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