研究概要 |
近年、セラミックス、特に薄膜や微粉体など特定の形状を持ったセラミックスが要望されている。本研究では金属や合金を高温高圧の水や水溶液と反応させる水熱酸化法、さらにこれを電気化学的な酸化と組合せる水熱電解酸化法によるZr【O_2】,Ti【O_2】,ZnO,【Nb_2】【O_5】などの粉体および薄膜の製造について検討した。まず、最高温度300℃,最高圧力200kg/【cm^2】,容量980mlの電解用オートクレーブを設計作製し、これを用いてZr金属の電解酸化をしらべた。主な結果は以下に示す。 1.200℃以下では、硫酸あるいはY【(NO-3)-3】溶液中でも、Zr板上に一様な酸化膜が生成する。 2.200℃以上では、高濃度Y【(NO-3)-3】溶液中、高電圧(>3V)ではZr板の端部の溶解あるいは孔食が生じ酸化物粒が剥離する。 3.これらの酸化物はいずれも単斜晶Zr【O_2】のサブミクロン粒子の集合体であるが、ESCAによれば少量のYも検出される。 また、Nb金属の水熱陽極酸化をLiOH,【Li_2】【CO_3】,Li【NO_3】溶液中でしらべた結果 4.溶液の種類に依らずNb表面上に陽極酸化皮膜生じ不動体化する。 5.生成する皮膜はいずれの場合もX線的には非晶質である。 6.定電位(4.5V)法によれば、漏れ電流値は100から200℃にかけて増大するが、250℃では逆に低下する。これは250℃での酸化膜が緻密化したためと考えられる。 7.定電流法によれば、250℃0.1NLi【NO_3】中で初期には印加電流密度に比例して酸化膜が生成するが、低電流密度ではある時間後膜成長がほとんど停止する。 この他、金属の水熱酸化法によってZnは直接ZnOを、Ti/Nbでは水素化物を経てTi【O_2】(ルチル)あるいは単斜晶【Nb_2】【O_5】となることが明らかになった。
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